鉄道メンテナンスロボットのツール制御

概要

鉄道メンテナンス用ロボットのツール制御。
ロボットの左右のアームは作業内容に応じてツールを付け替えることができ、高所での塗装や樹木の把持・伐採、枝葉の刈払い・剪定、およびボルト等の締緩など、様々なメンテナンス業務に対応している。
弊社では、各ツールの制御部分を担当した。

実施工程

各ツールの制御ボックスの製造と電気系統の制御、ツール制御用のプログラミング

開発のポイント

・ツールごとに異なる制御仕様を包括し、共通の制御回路で操作できるようにした
・制御ボックスの防滴、防塵性の確保
・複数の企業と連携しながら設計・製造・テストを実施

プロジェクトの概要・弊社の担当範囲

鉄道のメンテナンスをロボットで行うための開発プロジェクトに参画しました。
作業の安全性、省人化を目的としており、二本のロボットアームの先端に取り付けるツールを変更することで、高所での塗装や樹木の把持・伐採、枝葉の刈払い・剪定、およびボルト等の締緩など、様々なメンテナンス業務に対応しています。

鉄道会社と複数の企業、大学などが協同で携わる大規模なプロジェクトとなり、弊社ではアームに取り付けるアタッチメントツールの制御を担当しました。

多種多様なアタッチメントツールへの対応

伐採作業用のツール
伐採作業用のツール
各ツールに取り付けられた制御ボックス(赤枠部分)とロボットのアームとで非接触通信を行い、ツールの動作を制御する

様々なメンテナンス業務に対応するため、多種多様なアタッチメントツールを切り替えて使用することができます。
一例として、線路上の樹木の伐採作業用では下記四種のツールを使い分けます。

  • 刈払い機型ツール
  • チェーンソー型ツール
  • ヘッジトリマ型ツール
  • 樹木把持ツール

上記以外にも、塗料圧送機能付き塗装ツールや、ボルト等の締緩用レンチといったツールもサポートしています。
これらの様々なツールを、ロボットの操縦席に設置された共通のコントローラーで操作できるようにしています。
ロボット本体とはシリアル通信で連携し、アームと各ツールの制御ボックスを非接触通信することで制御を行います。
制御ボックスに取り付けられた三つのLEDがツールのステータスを表示します。
また、ツール側の状態情報をロボットへ通知し、操縦者が装着するHMDに表示する機能があります。

開発のポイント・苦労した点

ツールごとに異なる制御仕様への対応

ツールの種類によって制御方法が異なるため、制御仕様の包括と制御回路の統一にはとても苦労しました。
「モーターを回す」という制御だけでも、ツールによって制御方法が変わるため、ツールごとに個別の設計が必要になります。
例えば、工具のON/OFF状態をチェックする際、通常は電圧の変化を測定することが一般的な方法となりますが、あるツールでは電圧の変化がコンマ数ボルトしかなかったため、電圧の変化を頼りにON/OFF状態を特定することができませんでした。
今回はツールから引き出すケーブルの本数は増えてしまいましたが、電流を測定することで動作状態を判定する方法を採用しました。

制御ボックスの防塵性・防滴性・小型化

メンテナンスロボットは屋外で使われ、雨天など天候不良の中での作業も想定されるため、各ツールに取り付ける制御ボックスの防塵性・防滴性には十分に配慮して設計・製造を行いました。
また、制御ボックスにはロボットとの通信状態やツールのステータスを表すためのLEDが三つ取り付けられている他、工具に給電するための電源関係の機器やケーブルなども内蔵する必要があります。
これらの必要な機能を搭載しつつ、ツールの取り付けがしやすいよう制御ボックスの小型化にも取り組みました。

関係企業との連携・問題の切り分け

本プロジェクトは、複数の企業および大学と連携して行う大規模なプロジェクトとなりました。
ロボット本体との結合テストを行う際は、疑似信号を用いて入念な検証を行ったうえで臨みました。
また、結合時に起きた問題に対しては、責任範囲を明確にするための準備を行い、関係各社と協力しながら開発を進めていきました。

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